今回はアメリカやフランスではなく、メキシコを舞台とした映画をご紹介します。
みなさんはメキシコにどんなイメージを持っていますか? 陽気なダンスやサボテン……もちろんそれも間違ってはいません。
しかし、光があれば闇もあるもの。情勢が不安定なメキシコは、治安が悪く裏組織や犯罪も多いことで知られています。今回は、そんなメキシコの暗い部分を描いた映画『マイ・ボディガード』を紹介しましょう。
マイ・ボディガードのあらすじ
主人公は、元テロ暗殺部隊に所属していたが、現在は飲んだくれの男、ジョン・W・クリーシー。
彼は、友人のレイバーンの紹介で、ボディガードの仕事をすることになります。
メキシコは大変治安が悪く、裕福な家を狙った誘拐はもはやビジネスとして成り立っていました。
そのため、ボディガードを雇うか誘拐保険に入るのが、当たり前だったのです。
今回クリーシーが護衛することになったのは、ピタ・ラモスという9歳の少女でした。当初は子供を相手にするのが面倒であしらっていたクリーシーでしたが、ピタが根気強く話しかけたり遊んだりするうちに、次第にクリーシーはピタに心を開いていきます。しばらくは穏やかな交流……しかし、長続きしませんでした。
誘拐されてしまうピタ
ピタをピアノ教室に連れて行こうとした日、悲劇は起こりました。不審車両から出てきた男とパトカーの撃ち合いに巻き込まれ、クリーシーは凶弾に倒れ、ピタは不審者にさらわれてしまいます。
しかも、クリーシーは病院送りになっただけでなく、警察官を殺害してしまったためにピタ誘拐の容疑者にされてしまいました。
誘拐犯の要求は身代金1000万ドル。警察は取引に向かいます。
ところが、この取引が大失敗。結局撃ち合いになり、黒幕の甥が死んでしまいます。
これにより取引はご破算。
入院していたクリーシーは、絶望的な知らせを耳します。ピタが、殺されてしまったのです。
復讐の始まりと、意外な黒幕の正体
クリーシーは、誘拐の首謀者は警察とも繋がりのある闇組織『エルマンダ』であることを突き止めます。
病院を脱走し、警察の不正を暴きたい記者と協力関係となり、エルマンダへの復讐を決意したのです、
最初のターゲットは、誘拐現場に現れた男ゴンザレス。彼を拘束し口を割らせようとしたが、ゴンザレスは黒幕の声しか知りませんでした。彼は単純に指示に従ってピタを誘拐しただけだったのです。
用心棒にブッチャーという男がいることを聞き出した後、クリーシーはゴンザレスを殺害します。
2人目ブッチャーを見つけ出し、またしても尋問を行うクリーシー。またしても黒幕の正体はわからずじまいでした。
しかし、身代金は悪徳警察官に盗まれていたことは判明しました。
エルマンダの会長は、誘拐課の汚職景観であることを突き留めたクリーシー。彼を襲撃して話を聞き出すと、身代金を受け取るのに失敗したことを告げられます。本来受け取るはずだった身代金を妨害したのは、なんとラモスが雇っていた弁護士カルフスでした。
その後、クリーシーはあまりにも予想外な真相を知ることになりました。
ラモス家の弁護士カルフスと、ピタの父サミュエルが、身代金目当てにわざと娘を誘拐させていたのです。
サミュエルはすべてを話し終わった後、自殺してしまいました。
命と命の交換
ピタがまだ死んでいないことを知り、クリーシーは犯人の弟を確保すべく動きます。
誘拐の実行犯は、サンチェスという男でした。彼の弟アウレリオに、クリーシーは撃たれてしまいます。
撃たれて重傷を負いながらもアウレリオを拘束し、クリーシーはサンチェスへ電話をかけさせました。
そして、クリーシーはアウレリオとその家族を人質にしていることを告げました。
すると、サンチェスは「命と命の交換」を提案してきました。落とし前としてクリーシーが死ぬ代わりに、ピタを開放するというものです。
クリーシーは、それを承諾しました。
マイ・ボディガードの結末
やってきた車から、拘束されていたピタが下ろされます。
生きて再会できたピタとクリーシーは抱き合い、泣きながら微笑みました。そして、自分がこれから死ぬことを悟らせないように母親の元へピタを向かわせると、静かに一味に連行されていきました。
クリーシーは、ピタがくれたお守りを握りながら、静かに息を引き取りました。彼の復讐は、終わったのです。
そしてサンチェスは、連邦警察たちに居場所を突き止められ、そのまま射殺され、あっけない最期を迎えました。こうして、誘拐事件は幕を閉じたのです。
以上が、マイ・ボディガードのあらすじです。
感想
少女との交流を経て更生していく中年男性というのは王道ですが、もの悲しく切ない終わりを迎えた作品ですね。
犯罪組織と警察の関係や、実の父が黒幕だった点など、サスペンス要素も斬新ではありませんがよく捻られており、物語のメリハリもしっかりしています。
ダイハード(初代)やコマンドーのような純粋にハッピーエンドを迎える作品が好きな人にはお勧めしませんが、自己犠牲系の主人公が好きな人には胸を張ってオススメできる作品です。