あの『カメラを止めるな!』の快感がまた味わえます!
『カメ止め』で監督を務めた上田慎一郎監督が、中泉裕矢監督、浅沼直也監督とタッグを組み新たなエンターテインメント作品を生み出しました。
それが、2019年8月16日公開の『イソップの思うツボ』です。
今回は、本作のあらすじやラストについてお伝えします。
ネタバレあらすじ
本作のヒロインのモチーフとなるイソップ寓話ですが、全編は知らなくとも『ウサギと亀』『イヌと肉』『王様の耳はロバの耳』など、誰もが知る童話ですね。
この『イソップの思うツボ』では『ウサギと亀』『イヌと肉』がヒロインたちのイメージを固めるのに大切な役割を担ってきます。
イソップ寓話と3人のヒロイン、騙し合いバトロワ勃発!
家族とは仲が良いが亀しか友だちのいない女子大生、石川瑠華演じる亀田美羽。
人気タレント一家の娘で恋愛体質の、井桁弘恵演じる兎草早織。
復讐代行業を親子で営みその日暮らしの生活を送る、紅甘演じる戌井小柚。
本来なら交わるはずのない3人の少女の運命が交わるとき、イソップ寓話をモチーフとした青春ストーリーが動き出す…
わけではありません。
物語は、騙し合いバトルロワイヤルコメディへと発展するのです。
あなたもきっと、騙されます。
家族愛から垣間見える、人間の裏側
前作の『カメ止め』でもフューチャーされていた家族愛ですが、本作の家族愛はこれまでとは一味違います。
イソップ寓話やおとぎ話には、たくさんの教訓のような意味合いが含まれています。
家族愛とその教訓が本作にどう絡むのか。
キャラクターたちがどのように騙し合い、どのような秘密を抱えているのか。
キャラクターたちの化けの皮が剥がされたその後、いったいどうなってしまうのか。
また、観客も騙されてしまうのか…
『カメ止め』を超えるのではないかと噂の本作の全貌を、是非映画館で確かめましょう。
上田慎一郎監督によるオリジナル脚本、トリプル監督
本作は、上田慎一郎監督、中泉裕矢監督、浅沼直也監督の三人が一本の映画を撮影するという世界的にも珍しい手法で制作されています。
構想には三年の時間が費やされ、まさに満を持しての公開となります。
それぞれの短編を一本の映画にまとめるオムニバス形式ではなく、三人が撮影するという手法ですらも何かのトラップなのではないかなど、少し勘繰ってしまいます。
しかし、濃いキャラクターばかりのそれぞれの家族は、それを見つめる観客たちの人間らしいいくつもの箇所をえぐっていくのだろうと予想されます。
ラストや結末
前作の『カメ止め』をご覧になった方はおわかりだと思いますが、結末が読めません。
予告映像やトレイラーを見る限りでは、本作の家族は今までとは一味違う。
そして三人のヒロインが出会うとき、物語は予想外の展開を見せ…日常が終わる…ということは、確かなことだと思います。
上田慎一郎監督の手法は前作の『カメ止め』で広く知られていることでしょうから、おそらく二重、三重のトラップを張ってどんでん返しを狙ってくるものと思われます。
感想
本作の結末が非常に読めないため、今回は感想というよりも考察の方に知恵を絞っていきたいと思います。
これまでにもお伝えしてきたことですが、本作は『イソップ寓話』がモチーフとなっています。
『ウサギと亀』の亀田美羽と兎草早織。
童話の『ウサギと亀』は二匹が競争をすることになり、亀に油断したウサギが昼寝をしてしまい最後には追い抜かれて負けてしまうという、あまりにも有名なお話ですね。
この話から考えると、恋愛体質の兎草早織と内向的な亀田美羽が同じ土俵の上で競争をすることになるのだと思われます。
おそらく男性がらみの三角関係に発展していき『イソップ寓話』の話の流れのままならば、油断した兎草早織が亀田美羽に意中の男性を奪われる…という流れになります。
そこに、これまで接点のなかった戌井小柚が物語に介入していくことで、さらに物語は加速していくのでしょう。
戌井小柚のモチーフとなっている『イソップ寓話』は『イヌと肉』だと考えられます。
『イヌと肉』という童話は、橋の上を肉をくわえて渡る犬が、下の川に映る自分の姿をほかの犬だと勘違いし、吠えた拍子に肉を川に落とし失ってしまうというお話です。
皆さんもご存知のことと思います。
こちらも、この話の流れのままであれば、戌井小柚が自分と似たような部分のある亀田美羽と兎草早織、もしくはそれ以外の少女と出会い、自らの大切な何かを失ってしまう…。
もう一つ考えられる展開としては、亀田美羽と兎草早織のどちらかが復讐代行業の戌井小柚へと依頼を持ち掛け、それが原因で戌井小柚の父親が何か大切なものを失ってしまう…という可能性が考えられます。
本作にも家族愛が『カメ止め』とは違う角度で描かれているのでしょうから、そこから家族ぐるみの騙し合いが始まるのかもしれません。
何しろ上田慎一郎監督のことですから、このような安易な展開で終わることはないと思います。
三年の月日をかけて構想が練られた今作は『カメ止め』とはまた違ったカタルシスが味わえることでしょう。
結末が気になる方は、是非映画館で騙されてみてはいかがでしょうか。