いまや知らない人はいない?
ブリー・ラーソンが、キャプテンマーベルになる前に出演していた作品です。
きれいなタイトルと豪華なキャスト陣に期待が膨らみます。
『ガラスの城の約束』のネタバレあらすじ、ラストや結末をお伝えしていきます。
ガラスの城の約束の作品情報やキャスト
『ガラスの城の約束』は、主演のブリー・ラーソンが以前『ショート・ターム』で組んだ監督との再タッグです。特異な子ども時代を送る少女の物語という点が類似しています。(それは『ルーム』も同じですね)
ラーソンは、2015年『ルーム』でオスカーを手にしてから作品の幅がぐんと広がり、キングコングと戦ったり、地球以外のヒーローのいない星を守ったりする最強の戦士になりましたが、受賞以前の彼女は小さなコメディや日本では未公開の作品が多いようです。
作品情報として特筆すべきは実話に基づく点。アメリカの作家、ジャネット・ウォールズの自叙伝の映画化です。こんな生き方が本当にあるんですね。発売から10年以上たった今でも売れ続けている、全米350万部超えのベストセラー自叙伝です。両親から得た純粋な愛情は素晴らしいし、どんな家族にもそれぞれの物語が存在するのだと、彼女は作品として発表した理由を語っています。
主要キャストは、
ジャネット(次女)ブリー・ラーソン
レックス(父親)ウディ・ハレルソン
ローズマリー(母親)ナオミ・ワッツ
ガラスの城の約束のネタバレあらすじ
フーテンの子ども時代
遊牧民のように社会のルールを無視して自由気ままに生きる両親に、たまに文句を言うことがあっても、どこへでもついていって一緒に暮らすのが当たり前と育った子どもたち。家があるときもあれば、満天の星の下で眠るときもありました。
学校に通わないかわりに、生きていく術や教訓、自然科学などは哲学者のように父親が教えますが、仕事をせずに酒量が次第に増えていき、言動も乱暴になっていきます。
母はアーティスト志望で絵ばかり描いています。お料理をしない母親に代わって次女(3歳)がソーセージを茹で、スカートの裾に火が燃え移り大やけどを負ったとき、治療費を払えない家族は病院から逃げるしかなく、その傷は少女の心と体に深く残ります。
高校生になるのを機にまず長女がお金を貯めて家を出ました。つぎはジャネットの番ですが、かなりため込んだところで父親に全部使い込まれてしまいました。
魅力あふれる素敵な両親はだれ
哲学的で賢く穏やかに自然を愛し、家族を愛しロマンチストな反面、夢を追い続けあてにならないアル中の父親は、ここ最近大作系にも出演作目白押しの、ウディ・ハレルソン。夜空に輝く星の中から好きなものを選ばせて子どもたちにプレゼントします。
ふんわりとした永遠の少女のような美しさを保ち続け子どもたちを包むが、夫への愛ゆえ現実が見えない母親は、実際にも年齢不詳に美しいナオミ・ワッツ。夫の悪いところもわかっています、許せなくて喧嘩になることもあります。でもこの夫婦が貫く愛には、子どもも含め、他者を寄せ付けない強さがあります。
ガラスの城の約束のラストと結末
やっぱり親子の絆
お金を貯め、大学進学をきっかけにニューヨークに旅立ち、仕事も理解ある恋人も得た主人公のもとに、両親と末娘がやってきます。相変わらず不法移入の建物で暮らしていることを受け入れられず、街で見かけても無視し、婚約を知らせません。いつか理解しあえる時はやってくるのでしょうか。あっさりとやってきます。長年アル中だった父親が患います(見た目は少しもやせ細っていきません)。懐かしい思い出話をしながら、硬く厚い氷が溶け出していきます。そして、理想として描いていたような婚約者との生活を捨ててしまいます。やはり根底に流れている血の証というのか、家族にしかわからない複雑な愛情なのでしょうか。
結局ガラスの城って
タイトルにもなっているガラスの城は、存在しません。父親の夢物語です。父親は、ガラスでできたお城を自分たちで建てるんだと、子どもたちが小さなうちからずっと言い続けます。設計図はできていました。ほんの少し実現に近づくときもありましたが、やがて子どもたちの方が先に「夢物語」ということに気付きます。父親にとって「ガラスの城」は何の象徴だったのでしょうか。
感想
子どもたちは少しずつ確実に大人に近づいていきます。学校にも行かない、友だちもいない、私たち家族って変なの?と気が付き始めます。家もないし、お金もない、けれど両親はこの家族は最高だって、世の中の常識が間違っているんだって言い続けます。どちらが正しいのだろうって迷いは生まれて当然ですよね。
ちょっとどこかで観たことがありませんか。
『はじまりへの旅(2017)』ヴィゴ・モーテンセンが絶賛された映画と似ていませんか。子どもたちは父親と森で暮らしています。こちらも、親が植え付けた価値観から抜け出すことは大変に難しいことなんだとわかる映画です。
「毒親」だとは言い切れませんが、深いテーマではあると思います。
無敵のヒーローではないブリー・ラーソンに興味のある方は、ぜひご覧になってください