イヴ・サン・ローランやゴルチエのミューズで、フランスの美の象徴と言われているレティシアと、母親(ヴァネッサ・パラディ)と瓜二つ、20歳とは思えない存在感を放つリリー=ローズ。この美しい二人の女性に翻弄される主人公。
テーマは”ひとの気持ちはあてにならない”です。
冬のパリもとっても美しいです。
パリの恋人たちのネタバレあらすじ
3年近く同居しているアベル(ルイ・ガレル)とマリアンヌ(レティシア・カスタ)。
「妊娠したの」と告げられた喜びも束の間、父親は共通の友人であるポールとのこと。しかも二人はまもなく結婚するそうです。
アベルは荷物をまとめて姿を消します(理性的で優しいとお礼を言われます)。
8年後、ポールの訃報が届きます。告別式でマリアンヌと息子のジョゼフを目にします。アベルはマリアンヌへの想いが変わらずに残っていることに気づきます。連絡してほしいと言い、その日は別れます。
告別式では、アベルをじっと見つめる女性がいました。ポールの妹のエヴ(リリー=ローズ・デップ)は、少女のころから一途にアベルだけに想いを寄せていました。そしていまは魅力的なレディに成長しています。
2週間後、マリアンヌから電話をもらい、二人で食事をします。また一緒に暮らしたいという言葉を必死に飲み込みます。
帰りにアパルトマンに立ち寄ると、ジョゼフが「ママがパパを毒殺したんだよ」と耳打ちしてきました。ママは医師と関係があるからもみ消してもらったんだよと言うので、子供の冗談だと自分に言いきかせるも、気になって仕方ありません。
こっそりと医師を訪ね、友人のポールがなぜ突然死んだのか教えてほしいと質問しました。「睡眠中の心臓まひです。よくあることです」と答える医師は、ゲイだからマリアンヌのことはよく知らないなんてことまで自分から言い出して、何か隠しているような、信用できない人物でした。
いつしか自然に同居するようになっていたアベル。しかしジョゼフは(ママと取られたように感じていて)反抗的だし、アベルの心にもやはり一度裏切られたわだかまりが残っていました。
さらに、ジョゼフの父親について、二人同時に付き合っていたのにどうしてポールだったのかと聞くと、コインを投げて決めたと言われました(ほんと?)
本心を探り合うような毎日です。
ある日エヴが、「あなたはアベルを愛していないでしょう。私はアベルがほしいの」とマリアンヌに宣戦布告します。
アベルにも「私にはあなた以外の男は存在しない」と告白します。
マリアンヌはしばらく考えましたが、ふと思いつき「エヴと寝てあげて」とアベルに言います。
戸惑うアベルでしたが、結局言われる通りにします(荷物もまとめてエヴの部屋に転がり込みます)。
本心がさっぱりわからないアベルとマリアンヌ。この三角関係の行方は・・・
パリの恋人たちのラスト結末
最初こそ心底喜んでいたエヴですが、喉から手が出るほどほしかったアベルですが、いざ手に入れてみたら、誇大妄想とでもいうのでしょうか。遠くからただ見つめていたころとは何かが違うのです(マリアンヌは若いエヴのそんな恋心はお見通しだったというわけです)。
アベルもすぐにエヴの気持ちの変化を察しますが、悲しいとか怒りではなく、募るのはマリアンヌへの想いでした。しかし電話をかけても出てくれません(マリアンヌの心情は?)
そんなときエヴはジョゼフから、アベルはマリアンヌの提案に乗っかってエヴのところに行ったんだと聞かされます(証拠の音声あり)。腹を立ててアベルを部屋から追い出しました。
やはりアベルに怒りの感情はわいてこなくて、その足でマリアンヌの職場に乗り込みました。
マリアンヌは微笑みます(勝利の笑みでしょうか)。
ラストは、学校から連絡があり、ジョゼフが登校していないと言われます。心当たりは探しましたし、エヴのところにもいません。エヴに言われ、ポールのお墓の前に立ちつくすジョゼフを見つけました。
涙も言葉もなくただお墓をじっと見つめているジョゼフ。その姿を見守るしかない大人たち。
するとジョゼフは、アベルに手を差し出しました。驚きながらも優しく握り返したアベル。
パリの恋人たちの感想
エヴはストレートな気持ちをぶつけますが(アベルに飽きたときも)、マリアンヌとアベルの心の中はわかりにくいです。本心を見せないように演技しているようです。
大人の魅惑を放つマリアンヌは、監督で主演のルイ・ガレルの実生活の奥さまです。彼はいままでも好んで恋人を出演させてきたようです。
もう一方の、天使であり悪魔でもあるエヴは、いま最も注目を集めているリリー=ローズ・デップです。驚くほどヴァネッサに似ています(個人的にはヴァネッサの方が好きです、いまのところ)。リリー=ローズの小粋なパリジェンヌ・ファッションがとても可愛らしかったです。
”絡み合う糸のような男女の恋”とか”ひとりの男とふたりの女・・・揺れる恋の結末は”みたいなコピーがありましたが、絡み合っていたかな、揺れていたかなという印象です。
強い磁力のようなものでマリアンヌに惹かれているアベルが、マリアンヌに振り回されていただけのような・・・